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日経アート 10 1995
Nikkei Art

徐冰,ザリナ,チェリ・サンバ
NYで活躍する異邦人作家たち
7月6日~31日/ジューン・ケリー画廊(ニューヨーク)

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徐氷「A、B、C,…」 1991 陶(インスタレーション) 7.6x21.6x274.3cm
courtesy June Kelly Gallery
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作家 アジア・アフリカ出身でニューヨークを中心に活躍する3人。

中国出身の徐氷(シュー・ビン)は1990年に渡米下作家。北京の中央美術学院で版画を学び、88年に発表した「天書」で頭角を現した。この作品は、徐が自ら考案した4000字もの"似非"漢字を一つひとつ活字に仕立てて木版印刷した手製の書物・掛け物を大量に並べたインスタレーション作品。渡米後も万里の長大で重厚な表現形式を繰り返すことで,その徒労を揶揄する。1955年生まれ。

チェリ・サンバは母国ザイールの庶民の日常を淡々と,時にはコミカルに描きながら,内側に社会矛盾・エイズ問題などへ批判を込めた作品を発表している。1956年生まれ。

作品 母国を離れた異邦人アーティストにとって,文字やシンボルは単に社会的な伝達手段である以上に,一つのイマジネーションの源泉になりうる。そんな現象に目を止めたのが今回のグループ展「Arts&Letters」だ。

徐氷の作品「A,B,C…」は、素焼きの陶製ブロックに漢字を彫り,側面には,同じ発音のアルファベットを小さく彫った,計36個の"陶の活版"を壁に取り付けたインスタレーション作品。移民者についてまわる二重の言語システムや翻訳という行為に軽快なニヒリズムで迫る。

放浪のイメージを「車輪のついた家」図案化し多用するザリナは,作^[[make]]品「Crawing House」でブリキ製のモチーフを無数に壁に這わせた。ザリナが表現手段として用いるのは既成の文字ではない,自家製のシンボルだ。

ザイール出身のサンバの作品には,近代化による言語の混乱状況を反映するかのように,フランス語のピジン方言や様々な部族語が登場する。「La famille, Mr. Pauvre」では,村の代筆家が誰にも同じ内容の手紙を書いている光景を描き,それでもなお文字によるコミュニケーションを信棒する現代アフリカの大衆文化の側面を映しだす。

価格 徐冰の「A,B,C…」36個全部で2万ドル。一つが800ドル。サンバの「La famille, Mr. Pauvre」が1万ドル。ザリナの作品(総数250)が8500ドル。

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チェリ・サンバ「La Famille, Mr. Pauvre」 1991 アクリル・カンヴァス 66x81.3cm Courtesy June Kelly Gallery
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ザリナ「Crawing House」 1995 ブリキ=tinplate
Courtesy June Kelly Gallery
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