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五月二十一日
曙ハ南國ヲ想起セシムル熱サダ。午前中ハ「ボー」トシテ整備シ
午後　愉樹屯中ニ行ク。中隊ノ愛機ト渡サレタ中416ハ、ナント
鋭ク油ニ汚レ本当ニ心細カッタ。山田ガ俺ト共ニ航法ニ征ク
ト云ツテ共ニ今月モ亦北満ノ一角デ物語ツタ。
五月二十四日　先行隊奉天中場前進一三００戦隊長衛門屯出発見送ル
十八時二十分斉々哈尓駅頭ヲ後ニシタ。其ノ中ニハ山田ヤ舟坂ノ颯ノ来タル姿モ消へテ行ッタ。端ンナキ北満ノ昿野、衛門屯中場ヲ右エレテ、且亦想匕出玉懐シキ兎狩リノ原野ヲ車窓ニ望ミ大岡常[[?]]両先輩ノ碑ヲ心行ク迄デ、轉歹無量ノ感慨デ
送ッタ。「噫今頃両君ガ生テ井タラナァー」ト。
列車ハ幾多青史ニ輝ク昿野ヲ走ル。右窓ニ、左窓ニ、數レタ
忠霊塔ヲ拝シテ一路奉天ニ驀進ス。
車中、「テンカン」ト称する「ニコー」一名居リテ三十分二、三、四[[?]]モ猛烈
ナル「テンカン」ヲ実施シテ我々ヲ愉快ナ旅路ニ乗セテ下レタ。
亦[[?]][[?]]少尉殿ト四[[?]]迄一諸ニ行キ色々御馳走ニ相成リ
タリ。「オダ」ヲ擧ゲタリシテ中々楽、半時間ヲ送ッタ。